
指輪に命を吹き込む工程--
冷間鍛造製法で創られる永遠のかたち
日本ではリングの製造方法に
「鍛造(たんぞう)」と「鋳造(ちゅうぞう)」
の2種類があります。
一般的な指輪作りに用いられている
「鋳造製法」は、
金属を溶かして型に流し込む工法で、
複雑なデザインを容易に実現できます。
この製法はデザインの自由度が高く、
独特な形状や細かい装飾が求められる場合に
適しています。
しかし、溶解時に吸収した空気を内包したまま
固まるだけでなく、
金属密度が粗いので鋳造製品の結婚指輪は
時として耐久性に欠けることがあります。

一方、「鍛造製法」は金属素材に様々に高い圧力をかけながら成形を行います。
このプロセスによって金属粒子が密に結合し、
結果としてリングは高い耐久性と傷つきにくさ、
きめの細かい滑らかな着け心地となります。
その強度と美しさは広く知られ、
長期にわたって日常的に着用する結婚指輪に
適しているとして、
世界中の人に選ばれているのが鍛造製法なのです。
鍛造製法の中でも四つの主要な製法
「冷間(れいかん)」「温間(おんかん)」「熱間(ねっかん)」「自由(じゆう)」は、
それぞれの特性があり、クリスチャンバウアーの「冷間鍛造工法」は、
加工難易度が高く貴金属業界では
殆ど用いられていません。
リングの見た目だけでは分かりづらい
素材と製法の違いは、
日常生活での様々な動きや、
環境によって信頼できる品質を
備えているかどうかで明確になります。
1.材料へのこだわり--
品質は素材から始まる

リングは見た目の美しさだけでなく、
素材創りによって大きな違いが生まれます。
クリスチャンバウアーでのリングの製造工程は、
自社で徹底管理し、独自の配合による貴金属の
合金を行うことから始まります。
様々な合金を創る為の独自に設計した高周波溶解設備で、金属を溶解攪拌(かくはん)します。
この際に酸素を排除し、
高周波加熱により金属組織を壊さず、
変色や劣化に強い合金素材が仕上がります。
プラチナやゴールドといった
一般的な材料を使用しても、
独自の合金技術と配合によって
成分比は明確になり、
クリスチャンバウアーだけの
カラーが生まれるのです。
クリスチャンバウアーは、
合金の段階から素材を管理することで、
次の工程「冷間鍛造」に適した
品質を実現しています。
2.冷間鍛造の秘密--
密度と精度を生む工程


指輪の製造工程の中でも、
品質を大きく左右するのが「冷間鍛造」。
金属に熱を加えず、常温の状態で圧力だけで
幾度も圧縮圧延し塑性変形させるため、
結晶構造を保持しつつ非常に
密度の高いリングとなります。
金属内部に形成される
「鍛流線(たんりゅうせん)」という
繊維状構造が、
リングにしなやかな弾力性をもたらします。
この弾力が衝撃を吸収することで
美しい形状を保ち、
着けているのを忘れてしまうかのような
着け心地の良い丈夫なリングとなります。
クリスチャンバウアーでは、
設備や機械による加工だけでなく
職人の熟練した技術も必要とされ、
一つ一つ慎重にリングを創り上げます。
3.切削成形--
精密さが生み出す造形美

冷間鍛造で密度を高めた地金は、
その後「切削成形」の工程へ。
高い硬度で精密な切削を行うことができる
ダイヤモンドカッターは、最高級のものを使用。
リングの輪郭やフォルム、エッジのライン、
内側の指に直接触れる面に至るまで
細部を正確に削り出し、
その切削面は非常に滑らかで美しく輝いています。
高密度の地金は凹凸や気泡が少ないことと、
ダイヤモンドカッターを扱う
熟練職人の技術によって、
シルクの様な滑らかな着け心地です。
リングの密度が高いが故に
切削するダイヤモンドカッターは
数本のリングを加工する度に
研ぎ直しが必要になるほどです。
リングを研磨することなく、
切削だけで美しい輝きとシャープな
フォルムを作り上げることが可能で、
意図した造形美を永く保つ
ドイツ職人の技術の高さは、
こうした見えない工程にも宿っています。
4.ダイヤモンドセッティング--
確かな手仕事が支える輝き

ダイヤモンドの美しさは、
石の質だけではなく、
ダイヤモンドのセッティング技術に
大きく左右されます。
クリスチャンバウアーでは
マイクロスコープを使用し、
すべてセッティング専門の職人による
手作業で行われ、
位置や角度、深さに至るまで
丁寧に調整していきます。
高密度で歪みにくく鍛え上げられた
リングの地金は、
ダイヤモンドセッティングの
安定性にも優れており、
日常使いでも安心して身に着けられます。
また、精密に削り出されたリングと
正確なセッティングが生み出す一体感は、
ダイヤモンド本来の輝きと
美しいフォルムを最大限に活かします。
5.レーザー刻印--
素材の精度が支える仕上がり

リング内側の刻印は、
専用の最新レーザー刻印機により、
日付けやお名前、大切な言葉やメッセージを
繊細かつ鮮明に刻むことが可能です。
密度が高められた冷間鍛造のリング表面は
滑らかで凹凸がなく、
細かな文字でも美しく仕上がります。
刻印の内容に同じものは無く、
幾通りにもなるリングの内側形状であっても、
専門の職人がひとつずつ丁寧に
コントロールをして仕上げます。
6.仕上げ--
すべては完成度のために

冷間鍛造をはじめとする
精密な工程を経たリングは、
最後の「仕上げ」で完成度が決まります。
高密度な素材は切削の段階で
既に表面に綺麗な光沢感があるため、
ポリッシュ仕上げでの
研磨磨きを最小限にとどめ、
フォルムの美しさを損なうことなく
丁寧に磨き上げていきます。
上品な風合いが特徴のマット仕上げや、
マットとポリッシュの
コンビネーション仕上げも
職人の技術で美しく輝きを放ち、
エッジ等の立体的なデザインについては、
形状が崩れないよう
細心の注意を払って仕上げています。
最終検品では、視覚・触覚・寸法に至るまで
厳格な基準でリングをチェックし、
基準を満たさない製品については出荷しません。
これらの細部にまで及ぶ
徹底した管理によって、
永く身に着けるにふさわしい
確かな品質と快適な着け心地を追求し、
時を超えて愛される一本をお届けします。